2010年7月3日土曜日

最近の「マスコミ」について

他のブログでも何度か書いているが、
私はマスコミの側にいる人間だ。

技術屋なので、
伝える内容にまでは影響力を持てないが、
バブルが崩壊した頃からの憂うべき状況には忸怩たるものがある。

実際、私は3年前に地上波の第一線を退いた。

思い通りにならない職環境から逃亡を図った訳だが、
淀んだ空気を嫌い、
ぬるま湯に浸かりきった怠惰な連中を見限った。

なかなか勇気がいることだが、
私は、こういう場面でブレーキが利かなくなる性分なのだ。

現在は、
これから大きな成長が見込めるCS放送の仕事をしている。

私の会社は、
赤字ギリギリの危うい地上波のテレビ局を尻目に
昨年度は二桁の成長を遂げている。

転職経験だけは豊富なので、私は進路を見誤らない。

話を本論に戻そう。

個人的には
いわゆる「マスコミ」の時代は終わりつつあると考えている。

「マス」から「マス」へ情報を伝えるというスタイルは、
巨大化の限界を極め、
同時にインターネットなどの発展により、
代替の伝達手段が確立されたことで、
著しく存在感が薄れている。

どんなに巨大なメディアを作ったところで、
取材出来るものは限られているし、
伝えられる容量も無限という訳にはいかない。

人々が求める情報は多様化し、
八方美人的なぼんやりとした情報よりも
強いベクトルを持った希少な情報のほうが
価値が高くなっている。

多くを伝えようとすれば、
その内容は必然的に薄くなってしまう。

このジレンマから既存の「大手」は抜け出すことが出来ない。

巷ではW杯が注目されている。

日本のマスコミも
かなりミーハーではあるが、
連日、世界最大のスポーツイベントを大きく取り上げている。

ところが、
これにより伝えられないものが出来てしまう。

シーズンを中断しているJリーグの話題は、
この数週間、ほぼ無いに等しい。

私が愛する浦和レッズがオーストリアで合宿を行っても
大手のマスコミは現地に行くこともなく、
出国した時と帰国した時だけ小さなニュースになった。

こうした状況で、
典型的な「浦和バカ」である私はチーム情報に飢えただろうか?

実のところ、そんなことはなかった。

フリーライターの島崎英純さんが現地に行っていて、
ツイッターでリアルタイムの情報を伝えてくれた。

途中からは
ブログも立ち上げてくれたので、
日頃のスポーツ新聞の情報より逆に充実していたくらいだ。

このように、
組織を持たない「個」が発する情報でも、
それらを求める「個」が存在すれば、
十分にメディアとして機能するのである。

もう巨大なシステムなんて必要ない。
そういうことだ。

大きくなり過ぎた恐竜は、
食料が激減する時代に絶えられず、死に絶えた。

でも、すべての生物が消え去った訳ではない。

既存のマスコミにとって
この数年間はサバイバルの連続になる。

傍目には面白い出来事だと思う。

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